頼朝杉弥勒菩薩像

頼朝杉

源頼朝のお手植えと伝えられ、幹回り9m、高さ32m超の頼朝杉が平成24年9月2日平穏な日曜日の午前7時、800年の樹命を全うしました。
いくつもの猛烈な台風の風を耐え、倒木の瞬間を誰にも見せず、まさに千葉山の巨人・武将の最期でした。
頼朝杉は以前より根本部分が腐食し空洞化しており近い将来倒木することが解っていましたが木の真下には県指定文化財の薬師堂があり倒木の際には建物へ影響が懸念されていました。しかし、杉が意志を持っているかのように建物を避けて搬出しやすい方向へ倒れてくれました。

子供たちと薬師堂と頼朝杉

弥勒菩薩制作の趣旨

皆さんに愛され守られてきた頼朝杉には千手観音の魂が宿っているかのような大きな力が働いています。その大きな作用により弥勒菩薩像制作の発願に至りました。弥勒菩薩は釈迦の滅後56億7千万年後に次なる仏陀として出現されるという未来仏。頼朝杉が姿、形を変えて蘇り未来永劫までお導きいただきたいという願いが込められています。

江里康慧仏師との出会い

仏像制作にあたり親交のある宇治・平等院住職に相談のところ、江里康慧仏師をご紹介していただきました。江里仏師は現代を代表する仏師のひとりです。江里仏師の工房「平安仏所」では截金(きりかね)と云われる伝統工芸が仏像に施すことができます。平成25年4月のみ入れ式が行われました。

のみ入れ式

弥勒菩薩像の完成

平成27年7月、制作された弥勒菩薩像が開眼されました。等身大の座像です。杉の少し赤みの美しい木目に截金が調和した頼朝杉の名を受け継ぐにふさわしい繊細・優美な尊像です。
なお、普通の杉材は木目も粗く柱や板の建築材に使用され仏像などの彫刻はできません。樹齢800年の頼朝杉の木目が詰まった素材であるから制作出来ました。杉材の仏像は全国でも数える位と思われます。

弥勒菩薩像

截金について

截金(きりかね)とは古代の仏像などに用いられ、金箔を細線や三角、ひし形に細かく切り衣の文様や縁取りとして張ったものです。この截金を施したことにより木肌と箔の細かな輝きが程良く調和し金色にも等しい神々しさを醸し出しています。

截金の作業

頼朝杉で二胡を制作

歌手で二胡奏者の里地帰(さとちき)さん。身長180cmで細身、謙虚で爽やか好印象です。頼朝杉で二胡を制作し頼朝杉の曲も作曲しました。悠久の時間を漂うような曲です。